目が覚めると朝になっていた。
腕には点滴がつながれ、体を起こすと、頭に激痛が走った。
最近、勉強のし過ぎなのか、頭痛が頻繁にある。
でもあの素敵な大学に入りたいな。
目が覚めたから、ナースコールを押せばいいのに、私は部屋の外の空気を吸いたくて、部屋を出た。
点滴を手に持って、ふらふらと廊下を歩く。
ナースステーションに着くと、早朝からなのか誰もいない。
そのまま自販機やテレビやソファの置かれたところまで歩き、ソファに座った。
ここ最近外での生活にどっぷりつかっていたから、一晩病室にいるだけでも息苦しい。
早く帰りたいなぁ。
なんて思っていると、
「かなちゃぁん」
と、低い低い声が聞こえた。
うわっ、その声。
見つかってはいけない人に見つかった。
「こら!こんなところで何してんだ?」
振り返ると、鬼の形相の佐藤先生。
わっ!
久しぶりに見たこの顔っ!
と驚き怖がりながらも、ソファから立ち上がり先生の方へ歩く。
怒られても平気になってきた。
慣れって怖いな。
けど、それ以上は怒られない。
前はすごく怒られてたけど。
先生に連れられて病室に戻る。
「早いけど、診察するからな。」
といい、私に体温計を渡す。
体温計を脇に挟みながら、看護師さんに血圧を測られる。
この一連の流れがとても懐かしい。
その後、先生が聴診を始めた。
「うん、大丈夫だな。
熱も下がったし。
この点滴が終わったら、もう帰れるぞ。
今日は一日家で休んでなさい。
帰りはタクシー呼ぶからな。悪いけど、俺はこれから仕事だから。
今日は一日勉強せずに、休むこと!
分かったか?」
一日でも勉強をしないなんて、不安なのに、、、
と思いながらも渋々、
「はい。」
と答えた。
看護師さんが出ていくと、
「ところで、あの本を見てたけど、医療に興味があるのか?」
と聞かれた。
医療かぁ。それも面白そうだったなぁ。
でも、看護師さんなんて、私の性格に合うかなぁ。
「あの本は、すごくおもしろかったです。
自分の体もああなってるのかと思うと、すごいなって思いました。」
「じゃあ、決まりだな。」
何が?
「医学部に。」
は?
なぜ?
「えっ?
医学部!?医学部って、お医者さんですか?」
「そう、お医者さん。」
なんでそうなるの?
私にはお医者さんはおろか、看護師さんも無理だよ。
人が死んじゃうよー。
「前から器用だと思ってたし、お前の学力ならいけると思う。
それに、同じ医者なら、何かあってもなんとかしてやれるだろう?」
いやいや、同じ職場で働けるとは限りませんし、そこまでずっと一緒だなんて。
その前に医者なんて、私に無理だよ。
私の気持ちは無視され、先生は部屋を後にした。



