未知の世界2


大学は、病院のそばにあった。






家から歩いて数分。






お昼は、マクドナルドでハンバーガーを食べた。






私が初めて食べる、というと驚いていた。






施設にいたころは、お小遣いもほとんどなかったから、欲しいものは買えず、携帯電話を持たせてもらえただけだったことを、先生に話した。






けど、携帯電話は必要最低限しか使えなかった。





今は携帯電話は施設の閉鎖にともなって、解約してしまった。





そんなことを話していると、大学についた。







やごな大学




      


でかっー!






敷地は東京ドーム3個分。






日本で唯一、全ての学部学科のそろった大学だそうだ。





建物は何棟もあるそうで、先生は全て把握できていないんだって。





周りは森に囲まれて、噴水があったり、動物が飼われてたり。






とにかく広い!






受付で、先生が卒業生であることと、私を見学に連れてきたことを伝えると、受付の人は、喜んでパンフレットをくれた。

       




その後、先生の勉強した医学部へ。






先生がお世話になった教授のところへ挨拶に連れてってくれて、その後は図書館、サークル見学、食堂、談話室、ジムなどなど、たくさん回った。





その中で魅力的だったのが、図書館。





たくさんの本が天井にまでビッシリ並んで、しかも分野別
並んでるから、どこに何があるのか、とてもわかりやすかった。






図書館の中には、勉強スペースがあって、そこで調べ物をしながら静かに一人一人が勉強できる。






本当に素敵な環境だった。






最後にグランドを見た。







いろんなスポーツを大学生がやっているけど、私の目にすぐに入ったスポーツは、、、







ソフトボール





女子大生が真っ黒な顔をして、カッコイイユニフォームや、それぞれ色のついたグローブを身につけて、ソフトボールをしていた。






「運動は、







しばらくはできないからな。」






と横から先生に言われる。






悔しいけど、仕方ない。






こんな時、いつもの私なら下を向いちゃうけど。






涙がボロボロ出ちゃうけど、







今日の私は違う。






この大学の魅力に惹かれ、






もしかしたら、ソフトボール以外で、私の輝けるものがあるかもしれないと思わされ、






今は運動ができないことを、マイナスに考えることはなかった。






私は、前を向いていた。









そして、夕方になり、大学を出た。





遅くなっちゃったから、晩御飯も外で済ませた。







私は歩き通してへとへとになっていた。






でも、気持ちは晴々していた。






こんな素敵な大学、私も行きたいな。






強く大学に行きたいと思った。







ご飯を食べて帰る途中、       





「疲れたか?」






と先生に聞かれ、素直に






「足がパンパンです。






でも、すごく楽しかった!






先生、ありがとうございました。」







と言うと、先生は私の前にしゃがみ込んだ。






ん?






「あと少しで着くけど、これ以上歩いて、また熱が出たら大変だろ?」






といい、私におんぶされるように言う。






私はなぜか顔中が熱くなったけど、素直におばれた。






「先生の背中、あったかい。」  






と声に出してしまった。






「そうか?」






「お兄ちゃんって感じ。」

  




「まぁ、そうだな。」







入院中から、私は先生に人の温もりを教えてもらった気がする。





こんなふうに、生きてる人の温もりを。






優しさも伝わる。





先生、本当にありがとう。