大学は、病院のそばにあった。
家から歩いて数分。
お昼は、マクドナルドでハンバーガーを食べた。
私が初めて食べる、というと驚いていた。
施設にいたころは、お小遣いもほとんどなかったから、欲しいものは買えず、携帯電話を持たせてもらえただけだったことを、先生に話した。
けど、携帯電話は必要最低限しか使えなかった。
今は携帯電話は施設の閉鎖にともなって、解約してしまった。
そんなことを話していると、大学についた。
やごな大学
でかっー!
敷地は東京ドーム3個分。
日本で唯一、全ての学部学科のそろった大学だそうだ。
建物は何棟もあるそうで、先生は全て把握できていないんだって。
周りは森に囲まれて、噴水があったり、動物が飼われてたり。
とにかく広い!
受付で、先生が卒業生であることと、私を見学に連れてきたことを伝えると、受付の人は、喜んでパンフレットをくれた。
その後、先生の勉強した医学部へ。
先生がお世話になった教授のところへ挨拶に連れてってくれて、その後は図書館、サークル見学、食堂、談話室、ジムなどなど、たくさん回った。
その中で魅力的だったのが、図書館。
たくさんの本が天井にまでビッシリ並んで、しかも分野別
並んでるから、どこに何があるのか、とてもわかりやすかった。
図書館の中には、勉強スペースがあって、そこで調べ物をしながら静かに一人一人が勉強できる。
本当に素敵な環境だった。
最後にグランドを見た。
いろんなスポーツを大学生がやっているけど、私の目にすぐに入ったスポーツは、、、
ソフトボール
女子大生が真っ黒な顔をして、カッコイイユニフォームや、それぞれ色のついたグローブを身につけて、ソフトボールをしていた。
「運動は、
しばらくはできないからな。」
と横から先生に言われる。
悔しいけど、仕方ない。
こんな時、いつもの私なら下を向いちゃうけど。
涙がボロボロ出ちゃうけど、
今日の私は違う。
この大学の魅力に惹かれ、
もしかしたら、ソフトボール以外で、私の輝けるものがあるかもしれないと思わされ、
今は運動ができないことを、マイナスに考えることはなかった。
私は、前を向いていた。
そして、夕方になり、大学を出た。
遅くなっちゃったから、晩御飯も外で済ませた。
私は歩き通してへとへとになっていた。
でも、気持ちは晴々していた。
こんな素敵な大学、私も行きたいな。
強く大学に行きたいと思った。
ご飯を食べて帰る途中、
「疲れたか?」
と先生に聞かれ、素直に
「足がパンパンです。
でも、すごく楽しかった!
先生、ありがとうございました。」
と言うと、先生は私の前にしゃがみ込んだ。
ん?
「あと少しで着くけど、これ以上歩いて、また熱が出たら大変だろ?」
といい、私におんぶされるように言う。
私はなぜか顔中が熱くなったけど、素直におばれた。
「先生の背中、あったかい。」
と声に出してしまった。
「そうか?」
「お兄ちゃんって感じ。」
「まぁ、そうだな。」
入院中から、私は先生に人の温もりを教えてもらった気がする。
こんなふうに、生きてる人の温もりを。
優しさも伝わる。
先生、本当にありがとう。



