そのまま寝ずに朝を迎えてしまった。
ガラッ
扉が開くと、白衣姿の佐藤先生と早川先生がやってきた。
「また戻っちゃった。」
とつぶやく。
起きていたから、目が乾燥しているはずなのに、涙が目から溢れ出た。
涙を見られないように、布団を頭にかぶった。
椅子の動く音がして、どちらかの先生が椅子に座った。
たぶん佐藤先生だろう。
「そのままでいいから。
前回の喘息は、タバコやストレスから喘息がきていた。
まだ子供のうちにきてたから小児喘息だと判断した。
数ヶ月の治療で治ったと思っていたが、また起きたということは、まだこれからも喘息が出るということもある。
今回は明日までに体が回復したら、退院だからな。」
少し涙が落ち着いてきた。
布団を頭から外すと、佐藤先生が目の前の椅子に腰掛けていた。
「生活の環境が変わったから、疲れたか?」
医者の顔から昨日までの家で見た佐藤先生の顔になった気がした。
確かに疲れちゃったけど、違う。
「環境が変わったからじゃ、ありません。
二晩しか先生のところにいなかったけど、初めて心から安心して眠ることができました。
何も気にしなくてもよくて。
自分の部屋も与えてもらって。
美味しい物を食べられて。」
と泣きながら答える。
「どうして泣くんだ?」
「せっかく退院したのに、また病院に戻ることになって悔しくって。
それに、これからも喘息に怯えて生きていかないといけない、、、」
「そうだな。
これから喘息とずっと一緒なのは辛いな。
でも、俺達がいるから。」
ありがとうございます、と言うと、佐藤先生と早川先生は部屋を後にした。
私はそれから安心したのか、夜に眠っていなかった分、そのあと眠ってしまった。



