どのくらい経ったんだろう。
喉の奥から勢いよく咳が出て、目を覚ました。
喉が乾燥してるみたい。
リビングへ行って水を飲もうと、体を起こすと、
「ゲボッ!」
あれ?
「ゲボゲボゲボ、ゲホッ!」
ふぅ
おかしいな。
治ったはずなのに。
「ゲボゲボゲボゲボゲボゲボ、ハァハァハァ。
ゲホッゲホッゲホッ!」
どうしようどうしよう。
とりあえず、ベッドから下りようとする。
ドタッ
痛い。
体を強く床に落とした。
どうしたらいいのかわからず、焦れば焦るほど咳が止まらない。
「ハァハァハァ、ハァハァハァ。」
うまく、吸えない。
数日前に病院で、小児喘息は治ったって。
私、もしかしたら、このまま大人になっても喘息が続くのかな。
そんなことを考えてしまったからか、それか呼吸が苦しいからなのか、涙が止まらない。
この先も喘息と付き合う恐怖でいっぱい。
真っ暗の部屋の中、一人でもがき苦しんでいた。
ぱちっ
という音と共に、部屋が明るくなると、そこに佐藤先生が立っていた。
「大丈夫か?」
といい、咳込む私に吸入器を当て、ゆっくり呼吸をするよう指示した。
それでもほぼパニック状態の私は、先生の声を聞くことができず、体をくの字に曲げたまま息を荒くしていた。
先生は私の背中をさする。
私の呼吸に合わせて吸入器を試みるけど、うまく吸えない。
どのくらい経ったのか、
もう体は疲れて限界に近づいたころ、
部屋に、救急隊の人が何人も入り込んできた。
既に先生に聴診や脈を計られていて、その結果を先生から救急隊に告げられると、私はすぐにストレッチャーに乗せられた。
先生は側で私に気を失わないように指示していた。
頭は熱くて重い。
目を開けるのがやっとだった。
先生に何度も頬を叩かれ、何とか意識を保った。
病院に着くと、見慣れた顔の先生や看護師さんがいた。
そのまま救急センターに入って、佐藤先生に点滴を打たれ、酸素マスクをつけられた。
何とか意識を保ったまま病院に来ることができた。
私の体はすごく疲れ切っていた。
退院から数日でまた病院へ来るなんて、恥ずかしい。
その日は、そのまま病院で泊まることになった。
体は疲れてるいるけど、発作が怖くて寝られなかった。
ボーっとした頭のまま起きていた。



