「…え、あっ…あの…」
「……」
静かな保健室にむくろ君と二人きり。ドキドキしすぎてワタシの心臓が爆発しそうだよ。ねえ、なんでこんなにむくろ君優しいの。好きだよ、死にそうだよ。
「…ぇ、と…む…むくろ君好きです」
「俺は嫌い」
………ですよねー。
甘い展開なんて望んでないですけど、むしろ予想してた通りの回答が来て興奮してますけど…どうしよう、むくろ君に嫌いって言われちゃった。録音しておけば良かった、そしたら毎晩でも聴けたのに。
「とりあえず、お前は今まで通りキモい顔晒しとけ」
「はい。ありがとうございます、もったいなきお言」
「黙れ」
いや、だからワタシ黙れないんですって。むくろ君とこうして話せてるだけでも意識飛びそうなくらい幸せなんですよ?むくろ君には分からないでしょうね。
「むくろ君、お願いがあるのですが…」
「……」
ダメ元で頼んでみよう。もしかしたらあるかもしれない、奇跡が。
「抱きしめてくれませんか…?」
「………」
「ついでにキスもし」
「黙れ」
時間切れのようです。はあ。そりゃあ簡単には行きませんよね、ええ。知ってましたよ。
「もう、むくろ君は素直じゃないんだからぁ〜」
「殺すぞ」
「ぐへへへっ、むくろ君に殺されるなら本望ですよぉ〜!幸せな最期じゃないですかぁ〜!どうぞワタシの首をお絞めになって下っ……」
…………え?
「…っ、ん」
ワタシの目を覆っていたタオルがはらりと落ちてワタシの視界は、今…むくろ君をうつしている。
「…っ、は…ぇ」
離れた唇はスローモーションのように動いて見える。
「どう?天国にでも逝けた?」
音が耳に届くまで数十秒はかかった。ワタシがこの状況理解するのは無謀だと思う。
だ、だだ…だ、だって…むくろ君がイタズラに笑みを浮かべてらっしゃる。
ああ、今日ワタシは死んだ。



