「酷え顔」
知ってるがな。鏡見なくても、自分の顔がむくんでパンパンになってることくらい自覚してますがな。
「あの…その、どうぞ寝て下さい」
これ以上ワタシがむくろ君の睡眠を妨害してはいけない。今思えば、なんであれほど大声で泣き喚いてしまったのだろう…保健室だから他に病人くらい居ると思ってもおかしくないのに…。
「……」
「……」
……え?えっと、何かな。この間は?ほら、カーテン閉めて眠り入って良いのよ?今すぐそのベッドにむくろ君を押し倒しても良いなら喜んで押し倒しますけど……いや、むしろ押し倒させろ下さい。
「お前あんな理由でマスクしてたのか」
「え、あ…その…」
あんな理由って…そりゃ、むくろ君からしたらくだらないのかもしれないのかもしれませんけど?だってあなたイケメンですものね?でも、ワタシは違いますからね、隠したくもなるんです。
あなたと違って顔はコンプレックスなんですよ。
「誰かに何か言われたわけ?」
「いや、えっと…主にむくろ君…に?…なんてアハハ」
あなたに言われたんですよ、ハイ。結構侮辱されてるんですよワタシ。ああ、どうしようブラックオーラは撤退してくれたけど違う意味でこの空気怖いよ。
「……」
「……」
なぜ無言!?いや、はいワタシのせいですね。わかってます。
「…全く覚えてない」
「でしょうね」
あなたのことだからそうなんじゃないかと薄々気付いてたよ。ああ、もう可愛いんだから。こうしてるうちにもワタシはあなたにめろめろだよ、れろれろしたいよ。
「…これでも毎度の如くワタシむくろ君にメンタルズタズタにされてるんですよ、幸せですけど。もっとして欲しいほど幸せですけど」
「キモい」
「ほらぁ〜!それですって!!むくろ君からお言葉を頂けるだけでも白米5キロは食べれますけど、傷付いてますからね?知ってました?」
「ほんとキモい」
……ああ、どうしよう。ワタシって喋ったら余計悪化するよね。なんか好かれようと頑張るけどコレ嫌われてるよね。ああ、もう寝て下さい。むくろ君寝ちゃって良いですからね。
「むくろ君、どうぞワタシは居ないものとでも思って下さい。」
お願いします。さっき回復したワタシのライフを削らないで下さい。死にますまあ、むくろ君にライフ削られるのもすごく幸せですけど。
「お前もうマスクすんな」
「……はぁあ?!え、そんなにワタシの顔を侮辱したいんですか??もう、照れ」
「殴るぞ」
はい、ごめんなさい。もう余計な事は口にしないよう心の中だけでとどめておきます。



