「七尾さん、ほら…顔を拭いて。大丈夫よ、まだ若いんだから。七尾さんは綺麗になるわ」
そう言う優しい先生の声色がワタシをまた泣かせる。なんて良いセンセーなんだ。先生からティッシュを受け取ってブフォーっとワタシは鼻をかむ。
「セン、セー?ほ、ほんとに…ワタシっ、だ…大丈夫です、か…?っく」
ワタシの弱々しい声を包むかのように先生は優しく微笑んだ。確かに保健室にはお薬があった。心のお薬だ。
先生は蒸したタオルを用意してくれて、ワタシの顔を綺麗に拭くと瞼に当ててくれた。
「七尾さんは何か、好きなことはないの?何でもいいの、自分が笑顔になれることはある?」
「うっ、ぐ…あり、ます…けど…っ」
けど、そのワタシの笑顔はぞっとするものなのだ。自分でもあのアヘ顔は吐きそうになった、むくろ君を考えてる時は幸せだけど。
「なら、簡単よ。周りに何言われようと、自分が幸せだと思えたら人生楽しめるものよ。気にしなくて良いわ」
「……あ、ありがとうございます」
心が救われた。自分の中にあった重荷が軽くなった気がする。
よし!!!!!!!大丈夫っ!!!
「元気でた?」
「はい!!!出ました!!!ワタシ頑張ります!!」
頑張って、むくろ君に抱きしめてもらえるような人になろう!!!!蹴られるのも全然嬉しいけど!!!!
「あ、私ちょっと職員室行かなきゃいけないけど七尾さんはもうちょっと居ていいからね。落ち着いたら教室戻りなさい」
「はいっ!わかりました〜」
先生は忙しそうに書類を集めると保健室を出て行った。
今日のでセンセーはワタシの女神確定だよ、お母さんより上の地位にのぼりつめちゃってるよ。お母さんどんまい。
目の腫れがひけるようにタオルを当てていると……。
カシャーー。
……え?もしかして誰かいた?
タオルをはずして、ベッドのある方を見るとさっきまではしめられていたカーテンが開いていた。
「……む、むむむ…むくろ君っ!?」
「…俺の睡眠の邪魔するとは良い度胸してんな」
うわあぁあああ!!!!!ごめんなさい!!!!ほんとすいません!!!!ブラックオーラさん、ワタシとお友達になりましょ?ね?ね?
本当ツイてないな、ワタシ。



