あなたとキスをするまで







ワタシは職員室へ猛ダッシュし、むくろ君に雑用を頼み込んだという先生を見つけだし何をすればいいのか聞き出して、資料室へ戻った。



「むくろ君もどりました!去年、一昨年の体育祭の資料を探し出して整理すれば良いそうです!」



そういえばワタシが聞きに行くと驚いた顔をしていたな先生。


「あっそう、じゃあ探せ」

「わかりました〜!!」



資料室の中にはいくつか棚があってワタシは一つ一つその中を見ていく。


むくろ君はというと、ぽつんと一つある机に腰掛けてダルそうにしている。


早く見つけなければ!!!!!!!

ない、ないない…ないなぁ〜。




「…申し訳ないんですけど、無いみたいです」


「その棚の上…」


「え?…ああ!もう!分かってるなら最初から言って下さいって!!」



ワタシはむくろ君が指したほうの棚に近寄り資料が入ってそうな箱へ手を伸ばす。届かない…くそ、今日まだむくろ君の役に立ったの職員室に行ったくらいだよ!!行くはめになったのはワタシの所為だけど。


「むくろ君、すいません。その机かります」


むくろ君に机を譲ってもらい棚の前へと移動させる。よし!これで届く!


机に上って手を伸ばした時……え?


ガタッ。


「わ、わわ!ちょ、ひゃ!!」


机はどうも脆かったらしく、安定さを失いワタシをのせたままグラグラと倒れる。



「…あれ、む…むくろ君?…って、ど、どこ持ってるんですかぁあ!!!」

「黙れ、大人しくしろ」


床へとダイブしそうだったワタシを助けてくれたのはもちのろんでむくろ君だ。

ワタシの腰へと回されている手は軽々しくワタシを支えている。


なにこれ…すごく恥ずかしい。幼稚園児の高い高い状態だ…。


「早くしろ」

「へ?」


「資料取るんだろーが」


はい、すいません。すぐにとりますんで怒らないで下さい。ブラックオーラをログインさせないで下さい、パスワードを2、3回くらい間違えといて下さい。




「すいません、むくろ君に手伝わせてしまって……」


すぐさま資料を取ったワタシは床へとおろしてもらい、むくろ君へ謝罪を述べる。



「こうなるなら最初から俺に言え」


あきれたようにそう言うむくろ君の視線の先には可哀想に粉砕してしまった机がある。むくろ君に見つめられるなんて羨ましいぞこの野郎。


「うぅ…こうならないよう気をつけます」


反省である。もっと考えて行動しよう。


「バカが」

「うだっ!」


頭にチョップされてしまった。



「少しは頼れ」

「………」



どうしよう。むくろ君の株がものすごく急上昇中なんだけど、明日誰かに買い取られでもするの?やだよ、やだやだ。どうせならワタシが全財産をかけてむくろ君を守るよ。はぁ、愛してる。