あなたとキスをするまで






「おい、早くしろ」

「しますします!!頑張ってます!」


先生に雑用を頼まれたらしいむくろ君について行くとなかなかあかない資料室のドアにぶち当たってしまった。


かれこれ5分、ワタシはこのカタく閉ざされたドアと戦っている。開いたのはわずか3センチ程度だ。


どうしようむくろ君を怒らせている。イライラさせちゃっている。こういう時のために筋トレでもしておけば良かった…くっそ。

「ぬおぉぉおっ…!開け!開けゴマ!!扉よ開け!!ワタシを受け入れるんだ!!!!!」





「すいません。むくろ君、このドア開きません」


20分後、ワタシは潔く諦めた。



「だろうな、引いてみろ」

「へ?あ…はい…」


ガチャ。


「むくろ君!最初から言って下さいよ!!コレ押すんじゃなくて引くんですね!」


分かりにくいドアの形しやがって!!いとも簡単に開いたじゃねえか!!!



「お前がバカなのが悪い」

「ですよね、はい」


むくろ君が頭が良いのは良く知っている。テストの順位とかは貼り出されたりはしないけど、テスト返しの時にむくろ君のほうをずっと見つめていたらチラッと点数くらい見えてしまう。むくろ君よく寝てるくせに勉強は出来る。


資料室の中に入り、むくろ君の指示を待つ。









「…何を頼まれたか忘れた」

「はい!?え??」


覚えてないの!?まあ、そんなところも可愛いんですけどハアハア。ドジっ子みたいに抜けてるなぁグヘヘ。