あなたとキスをするまで





ワタシは身体を外へ乗り出しすぎて外へ落ちてしまったのだ。


むくろ君に夢中になって死んでしまうのは本望だけど……どうやらワタシは死んでないらしい。




「…った、はあ…間に合った」


「む、む…むむむくろ君!?ええ!?」



目を開けばそこにはむくろ君の顔があった。


「黙れ。動くな」

「あ、いや…あの……はい。」



全くもって状況が把握出来ない。

ワタシの身体は宙に浮いている…というかむくろ君によって抱えられている。



「竜ヶ峰ナイスキャッチー!イチコー、あんた次窓に近づいたら鎖で縛るからねー!!」


上を見れば、三階の窓からワタシたちを見下ろす美夜さんが手を振っていた。


なんと!!もう朝に窓からむくろ君を拝むことが出来なくなるというのか!!!


…それは…しょっく。



「…お前はバカかっ」

「へ?」


ワタシは目をパチクリさせる。


な、なななんか…むくろ君がいつもと雰囲気違うんですけどおおおおおお!!!




「…イチコ、あんたが悪い」


そう美夜さんの声が聞こえたかと思うと、それを最後に美夜さんの姿は窓から現れなくなった。