あなたとキスをするまで






「む、む…むむむむくろ君!!!」


「黙れ」


「一緒に帰りませんか!!!」


っふううぅぅうう…!!緊張したあぁああ!!!


今は放課後。今日は美夜さんは一緒に帰れないらしいから勇気を出してむくろ君を誘ってみるワタシ。


もう心臓がお口からこんにちはしそうだよ。




「………」



え?え??スルー??まさかのスルー??


むくろ君は何も聞かなかったかのように教室を出ていく。


いや、なんかせめて返事くれよ。無理なら無理って言ってくださいよ。


ワタシは慌てて追いかけてついていく。


「むくろ君!もしかして誘われて照」

「黙れ」



…せめて最後まで言わせて。ね、うん…ワタシ悲しいよ。


「あ、お荷物お持ちしますよ!!むくろ君の腕が疲れるといけないので!」




それでもワタシはめげずにむくろ君に話しかける。靴箱まで来るとワタシはむくろ君の靴箱から靴を取り出し玄関床へ並べた。


むくろ君はそれを無言で履いたので脱がれた上履きはワタシがむくろ君の靴箱へちゃんと入れておいた。



ど、どうしよう…校門までついてきちゃったけど一緒に帰っても良いのかなぁ?


「…む、むむくろ君!あ、あの」


むくろ君は立ち止まることなく校門を出ていく。


……ああ、死にたい。なんでこうも上手くいかないのだろうか。ワタシじゃむくろ君にはダメなのだろうか。


なんでむくろ君と一緒に帰ろうなんてワタシバカなこと思ったんだよおおおぉお。おかげでいま心がポッキリ折れてるよ、いっそのこと全身の骨折っちゃって良いよ。出来ればむくろ君に折られたいかな。


あーあ。

地面を見ればワタシ一人の影が揺れている。









「………何やってんの、ついて来れば」


「…むくろくううぅううううんん!!!」


「黙れ」



あなたはやっぱり最高だ。