赤い絵の具の少年【短編ミステリー】



それから、美術準備室の窓を未来くんは躊躇なく、開けた。


「開いてるの?」


「うん。この部屋は滅多に人こないから。」


ひょい、と中に入る未来くんに続いて、私もスカートに気を付けながら、中に入った。



「早速だけど、描こうかな。」


「お願いします。」



未来くんに、椅子に座るように足され、椅子に座る。

未来くんは私の前で、絵の具の用意をしている。


私はそこで、あることに気付く。



「あれ?未来くん、絵の具無くない?」



そう、赤い絵の具のチュー ブがないのだ。


なくては描けないだろうと思い、声をかける。


未来くんは、目を細め、ニヤリと笑う。