赤い絵の具の少年【短編ミステリー】



「でー?これ、誰なの?綺麗な女の人ね。」


「……ん。ありがとう。これはね、僕の幼なじみ、かな。」



ふわり、と微笑む未来くんに、ドキッと胸がときめく。


天使みたいな初めて見るその笑顔に、私の視線は釘付けだ。



「幼なじみなんだ。名前、なんていうの?」


「ナナ。」



へぇーと相槌を打つ私だけど、未来くんが恍惚とした表情をしているのに、気付く。



―まさか、未来くん、その女の人が好きなの?



そう、思わずにはいられなかった。



「未来くんに絵を描いてもらえるなんて、いいな。」


「……笹中さんのも、描いてあげるよ。」


「え、いいの?」


「うん。この絵、実はもう、描き終わったんだ。

あ、日程とか決めたいから、今日一緒に帰らない?」



まさかの未来くんからのお誘い。


もちろん私は、



「うん!」




と頷く。