放課後、陸上部の私は、教室に忘れ物を取りにいった帰りに、美術準備室の扉が開いていたので、興味本意で入った。


中で、真剣に絵を描いていたのは、未来くんだった。


夕日に照らされた横顔は、かつてないくらい、かっこよくみえた。



そろーっと後ろから絵をのぞいても気付かない未来くん。


私はそのまま、絵を見た。


それは、赤い絵の具だけで描かれた誰かの横顔だった。


赤い絵の具といっても、かなり水で薄めてあるため、グロくはみえない。


逆に、綺麗だ。



「未来くん、これ誰?」


「……!?あ、笹中さん。びっくりした。」



大袈裟に肩をびくつかせた未来くんに、さっききたの、と私はクスリと笑って返す。