誰とも話さない彼だけど、席が隣になった私には、話し掛けてくれたんだ。


一緒に話してると、私は未来くんの特別なんだな、と実感できて、嬉しい。


だから、席替えは彼との接点を壊してしまう。


私は席替えに反対なのだ。



でも私個人の思いで席替えの有無が変わるわけでもなく、席替えは始まった。


くじ引きだ。



「弥生ー。次弥生だって。」


「あ、ほんと?行ってくるね。」



私の前の席の友人、里中 美羽(サトナカ ミハネ)に返事をして、私は気だるげな足取りでくじをひいた。



「おーし。じゃあ、席移動させろー。」



私は廊下側の一番後ろだった。

机を移動させると、隣に机が付けられる。



「……あ、笹中さんだ。」


「え、み、未来くん!?」


「……うん。また隣だ。よろしくね。」



「う、うん!」




運命なんじゃないかと疑うくらい、嬉しかった。


だって、大好きな未来くんの隣の席だもん!