赤い絵の具の少年【短編ミステリー】



電柱の上にのっている彼女から、学校の校舎がよく見える。


特に、美術準備室なんかは。


昨日の帰り、カナの様子を見に、幼なじみという設定で近付いた自分を睨む笹中弥生を思いだす。



「あれが、人の嫉妬ですよね。

全く、見苦しいものです。」




一人呟くナクの声は、風に飛ばされていった。






end