背中にゾクッと悪漢が走る。 「み、くくん?」 「僕ね、赤い画家って、呼ばれてるんだ。なんでか分かる?」 そんなの、わかるわけない。 未来くんは、そんな私の表情を見て、楽しくて仕方がないという顔をする。 ――嗚呼、私の知ってる未来くんは、もういないんだ。 そう、思えてしまう程、別人に見えた。 「教えてあげるよ。それはね、」 私の耳元に整った顔を近付ける。 不謹慎だけど、胸がときめいた。 「血で描くからなんだよ。」 ――――――え?