そしてこれから大人になるようで

翌日、すっかり体調の良くなった私は学校に来たわけなんだけど…

「だから女子は引っ込んでろよ!」
「私たちだって美生とご飯食べたいの!」

私の何がいいんだか知りもしないが、今日も始まる争奪戦。
もうみんなで食べよう、と言おうと口を開いた。
だが、

「残念でした。美生は俺と飯食うんですー。」
「?!」

いつの間にか後ろにいた勇世が私の首に腕をまわし、やんわりと自分の方へと引き寄せた。
眉を寄せた男子が勇世につっかかる。

「違うクラスのやつは引っ込んでろよ!」
「悪いけど、明日も明後日もダメだから。」
「は?!お前、なんなんだよ!」

男子が勇世に近づこうとした時、

「これ、俺のだから。」

そう言うと、呆気にとられたクラスメイト達を置いて教室を後にした。



「…物扱いした。」

そのまま手をひかれ屋上への階段を上りながら呟いた。

「なに?俺の彼女ですって言えばよかった?」
「そういう問題じゃない。」
「俺だって美生のものだよ?」
「だからそういうことじゃ、」

反論しようとすると、いきなり手を引っ張られた。
転んでしまう前に慌てて階段を上りきる。

「なに、」
「お前は俺だけ見てればいい。」
「…!」

にやりと笑った勇世の顔を見て、無意識に赤面していた。
勇世はそんな私を放って、屋上のドアを開けて進んでいく。

な、なによ、ほんとに。
あぁもう、むかつく。

「早く飯食うぞー。」

そうやって手招きする勇世の笑顔に、思わず惚れなおしたってことは…



当分教えてやんない…。