そしてこれから大人になるようで

1週間後
私にチャンスが舞い降りた。

「来週は2組と合同だから、それぞれきちんと予習しておくように。」

担任がいろいろと説明をしていたけど、私の耳にはちっとも入ってこなかった。
勇世のクラスと合同で化学の授業をすることになったから。

配られたプリントの班の一覧をみると、まさかの同じ班。

一緒に授業ができるなんて、中1の時以来だなぁ、なんて思っちゃったり。
懐かしくて、けれど少し照れくさくなって、周りに気付かれないように小さく笑った。

…でも。

「おっまえばかだろ!笑」
「うるさいから集中できないんだってば!」
「はいはい、すぐ人のせいにしなーい笑」

待ちに待った合同授業の日。
なにか一緒にできるかもと思っていた私は、その期待を見事に裏切られた。

クラスメイトの女子と楽しそうに実験をする勇世。
私は自分のクラスの男子と実験結果をプリントに書き留めるだけ。

…なによ。
何がそんなに楽しいのよ。

「あー、ほんっとに面白い。あ、美生。ちゃんと書けてる?」
「…うん。」
「ありがと。」

そう言ってまたクラスメイトと楽しそうに実験を始めた。

「みきー、さっきのなんだけど…」
「え?あぁ…ここの書き方はね…」

一緒に書いていた男子に聞かれて、勇世から視線を外す。
その間も聞こえるその楽しそうな声に、無意識に唇をかみしめた。