アメリカ行きの日


久しぶりに外の空気に触れた

風に私の枯れ草みたいな髪の毛が

ヒラヒラする


マスクをしているから、外の匂いがしなかった


太陽の光がギラギラしてて、目を開けていられなかった

頭痛がして、私はタクシーの中

お母さんの膝枕で、ついこの前いった山の

景色を思い出し、また皆と

今度はお父さん、お母さんも一緒に

行こう!と決めた!



空港に着くと、橘家が揃っていた



私は、初めて乗り物酔いして

飛行機に乗る前からぐったり

高い所が苦手だから、緊張すると思ったけど、実際は今の体調で乗って大丈夫か
飛行機より、自分を疑っている


久しぶりの橘家なのに、私は挨拶くらいしか出来なくて


このまま、しばらく会えないとわかっていても

頭痛で、目を開けることも辛かった

お母さんの肩に項垂れるのが精一杯

お母さんが手続きや御手洗に行ったときは、てっちゃんが代わってくれて

ずっと背中を擦ってくれた


マスクに慣れたのか、てっちゃんの匂いがした


「めぐ、会いに行くから!」

コクッ

頷くことしかできないよ


てっちゃん……


待ってる


てっちゃん…


大好き


てっちゃん…


そばに居てよ


てっちゃん…


てっちゃん…


てっちゃん…












てっちゃんは、皆がいるのに

マスク越しだけど

私にキスをしたの

私の右手薬指には、てっちゃんが

可愛いハートの指輪をはめてくれた





「めぐ、大好き!」って…





私は、てっちゃんのおかげで

今、飛行機の中で顔が赤い




お母さんは、笑っているけど

お父さんは、ご機嫌斜めです




点滴を打ちながら




時々、吐きながら






どうにか、アメリカまで10時間ほど

到着の知らせをして

お家に行く前に、私は病院に入院した