【栗原 萌來】


てっちゃんに会いたい……



私の頭の中で、こぶちゃんが邪魔をする

自由に面会出来ないらしくて…

お父さんとお母さんも入れない



さみしいよ



私…こんなんで、アメリカ行けるのかな?


てっちゃん、ほんとに会いに来てくれるかな?


今、私の頭の中を支配しているのは

こぶちゃん!


こぶちゃんを押しのけて、頭の中に入ったてっちゃんは、私を悩ませている

私がアメリカに行ったら、他に好きな人が出来ちゃうかも

会いに来ないかも

ネガティブなのは、こぶちゃんのせいかな

それとも、私はてっちゃんを疑っているのかな


毎日、ぐるぐるとそんなことばかり


アメリカ行きまであと3日

吐いたりすることもなくなった


どちらかというと、体調いいはず

ここから出たいな…


今日は、終業式





皆、夏休み何するんだろ





去年は、海に行ったよね

バーベキューもしたし

花火もしたよね

そうめん大会もしたよね

水鉄砲大会もしたっけ


去年の夏休みのことを考えて、気を紛らわすつもりが

思い出すのは、てっちゃんの笑顔ばっかり


会いたいよぉ


ズキズキと頭痛が始まった


ナースコールを押す


頭痛の時の状態をみたいと言われてたから





割れそう…


頭をドンドンと叩かれているみたい



ううっ


締め付けられた




原田先生が胸の音を聴いたり、点滴に注射したり

とにかく、機械に繋がれて重病みたい

「めぐちゃん、怖くないよ!
今日は、これ繋いだままだけど、調べているだけだからね!」


顔に出ちゃったのかな

コクッ

原田さんに笑って返した


「お父さんとお母さんが、めぐちゃんに会いたがってるよ!」


「私も会いたい!」

「明日ね!」

「うん」


今日は、もう…誰にも会えないんだね