【遠藤 哲】


「めぐちゃん、全て話すべきじゃないかな?辛いなら、僕が代わりに言おうか?」

栗原さんがめぐの肩を抱き、優しく問う

涙を拭きながら

「大丈夫!」


そう言って、何度も深呼吸をする





やっと、落ち着いたみたいで


親父を見る



「陽さん…お父さんは、自分の病気を知ってたんでしょ?」

親父が、頷く

「めぐのせいじゃない!!」

「うん、大丈夫だから!陽さんに私のことを頼んでたから、そうじゃないかなって
私も、同じなの」



理解が出来ない




同じって…   




「お父さんと同じ腫瘍が脳にあるの」




めぐは、真剣で…


「私は、このままだとお父さんみたいに
なるか、死んじゃう」

ひとつ深呼吸して

「栗原さんは、私の主治医だったの
アメリカで、手術が受けられるって…
失敗もするかもしれないし、その前に
飛行機が良くないから、たどり着くか
わかんない
私…皆と離れて死ぬのが怖くて
だから、そばで死のうと思ったの
お父さんみたいに…」

「めぐ、当時はね
手術、不可能だったんだ
お父さんは、生きていたい
めぐをずっと見ていたいって、悔しがっていたよ
倒れてから7年も、頑張っていたと
聞いたときは、よっぽどめぐを置いて行くのが嫌なんだって…少し笑ったよ
あいつらしいって
めぐは、生きる選択肢がある
だったら、がむしゃらにしがみつきなさい!お父さんみたい!しぶとく!
新しい両親と橘家がめぐについてるんだ
全力で頑張りなさい!!
会いに行く!皆でね!」


「うん!!」



拳をぎゅっと握った

こんなことずっとひとりで?

どんだけ悩んだ?

俺、何度も頭叩いたじゃねぇか

めぐがアメリカならともかく

この世から、俺より先にいなくなるなんて

考えたことなかった

だって…


俺は、生まれた時から、めぐを知ってるんだぞ?

剛と同じ日に生まれて

弟と妹が出来たって、俺嬉しくて

泣いたんだぞ


抱っこしたのも、橘家で俺が1番だぞ

めぐのこと好きな気持ちだって…

俺が1番なんだぞ




脳腫瘍って… 何でそんなもんが…