【橘 陽】


酒を飲めば、どんな人かわかる

いや、分かり合える

そう思い、酒を抱えて来た

立派なお屋敷で、2人とも医者なんだとか

とにかく、いい人過ぎて、困った


めぐも2人によく懐いてる


ここにも、よく来ているようだ


息子達の様子を見ると、皆

栗原さん夫妻の人柄を気に入ったようだ


めぐが、火傷をしたようだったが


リビングから、3人の姿を見たら

まるで、本物の親子に見えた


めぐには、言っていないが


昨夜、話し合った


栗原夫妻が、信用に足る人物だったら

めぐを託そうと

その代わり、今まで通りの交流をお願いしようと

「栗原さん、来週アメリカに?」

「ええ、1年間の予定です!」

この話を切り出すと、栗原さんの目は潤んだ

そして、ガバッと土下座した

「栗原さん!!お辞め下さい!!」

私が前に座り、肩を起こそうとするが

頭を上げてくれない

何事かと、奥さんやめぐがくる


「お願い致します!!
私達、夫妻に萌來を下さい!!」


「栗原さん…」


「お願い致します!!
萌來を…  萌來を…
どうか、私達の子供に!!」


めぐを見ると


驚いて放心状態



「栗原さん、実は昨夜、息子達と話して
決めておりました
あなた方夫妻に、めぐを託そうと
離れてしまうのは、私達も辛い
でも、会いに行きます!
電話や手紙だってできるでしょう!
めぐには、家族が必要です!
それに、帰って来るんでしょう?
待ちます!いくらでも!」


「橘さん!!それじゃあ!!
いいんですね!!!」



静かに涙を流すめぐを


2人が宥める



血のつながりを超えた、家族になれる



私は、確信した





「めぐをよろしくお願いします」




橘家、皆で頭を下げた