【森永 萌來】


病院の帰り道


交差点で、大きな事故を目撃した


怪我人を助けたくて
一生懸命、お手伝いした



警察の人に言われて、携帯を見ると
ごうちゃんとてっちゃんから着信があった
全然気づかなくて、慌てて掛け直した


てっちゃん、恐ろしいくらいに怒ってた

怒られる理由が、嘘ついたこと?以外に浮かばなくて


それでも、てっちゃんをさらに怒らせると
クラスメイトが危ない

バイクを飛ばした


初めて、てっちゃんに怒られたのは
お母さんの葬儀の後

皆が、泣かないで偉いねって言ってる中
泣きたいなら泣け!!って私を叩いたの

痛むのもあって、大泣きしたの


あっちゃんが私をなだめてくれたんだよね



裏門にバイクを停めて、髪の毛で顔を隠しながら教室を目指した

昼休みに入ったばかりで、ガヤガヤしてた


てっちゃん…


私、辛いよ… ムリムリ  やだよ


俯き歩くけど、私服で目立つ


やだぁ… 帰りたい…


必死で教室に入った



教室には、皆がいて、お弁当を静かに食べてた

イライラしてる様子のてっちゃん…

「言い訳あるなら、聞くけど?」

おっ…怒ってるなぁ


「嘘ついて、ごめんなさい
言い訳は、しない
あの…皆も、ごめんなさい」

「どこ行ってた?何で、事故に巻き込まれた時に連絡しなかったんだ?」


私は、髪の毛の隙間から、てっちゃんを見た

事故に巻き込まれた?目撃したこと?

え?よくわからないけど


「行き先は、言えない」

「言わないなら、バイク没収」

眼鏡とマスクがないから、髪の毛が顔に
まとわりつく


「言いたくない!」

「嘘ついてまで、いかなきゃいけなかったのか?」

コクッ


パチーーーーン

「ざけんなよっ!
事故現場みて、どんだけ心配したと思ってんだ!!皆も心配したんだぞ!!
電話くらい、出ろよ!!」


目の前がチカチカした

頭のアレが、どうかなったんじゃないかと
思った


「気づかなくて… ごめんなさい」

「鍵」


嫌だ……首を横に振った



なんとなく…てっちゃんが怒ってる理由

わかっちゃった


きっと……


「辞めたい…もう、学校きたくない」


私が、迷惑なんだよね?

だから、疑っているんでしょう?


「学校にくるのか嫌だったの!」


教室を出たら、あっちゃんとごうちゃんがいた
てっちゃんは、なんだかんだ
慰め役がいるから
いつも、悪役をかって出る

そんなのお見通し

だから、捕まえられないように

2人の手を振り払った


バイクまで、全速力で走って


そのまま学校から逃げた