【石井 珠里】


怖かった…ごうくんの彼女になって
こんなことが、あったりしてって思ってた

ちゃんと心構えしてたのに

怖くて


動けない私を助けてくれたのは、ごうくんの幼なじみ  森永さんだった


「めぐは、大切な人の為なら、自分を危険にしても助ける奴なんだ!!
だから、この世で1番信用してる!
珠里ちゃん、友達になって欲しいな」


森永さんを大事そうに話す、ごうくんに
焼きもち妬いたような私を

庇ってくれた



森永さんは、私を大切な人だと思ってくれてるの?



だとしたら、私はちゃんと友達になりたい



森永さんが三浦先生に運ばれていった後


遠藤先生が、爽やかに言った



「じゃあ、説明して貰おうか?」



私が言わなきゃ

立ち上がって、素直に話した



「そうか……長谷川も落ち着いたかぁ」



そこかよ!!って男子に突っ込まれていた

お兄さんなんだもんね?


遠藤先生を見たら、いいネタ仕入れたって笑顔で私を見てた


あれ?


だとしたら……


先生も、森永さんの幼なじみ!?

さっきのやり取り!!

じゃあ、三浦先生も!?


「石井、座っていいぞ!
ちゃんと話してくれて、ありがとう」


先生は、大事な幼なじみより、クラスを優先したんだ

凄く心配なはずなのに


「すみませんでした」


言った途端、涙が溢れた

森永さんが無事でよかったと、改めて思った


それから、先生は森永さんの話をしてくれた


中学の時は、友達と連んでばかりだとか

運動能力が高すぎて、色々な部活に誘われてたとか



そんな生活が一変したのは、たった1人の家族である父親を亡くしてからだって



葬儀の時も泣かなかった


ちゃんと悲しむことが出来ないまま
ちゃんと別れをしないまま
すべてを捨ててこの学園にきたこと


「少しづつだけど、いい方に変わってる
安東がきっかけを作ってくれて
このクラスが森永を支えるムードが出来て
石井が森永の友達1号になってくれて
いいクラスの担任になったよ!俺!!
皆、揃ってさ、笑って卒業しような!!」



いい先生に、受け持たれてよかった









帰りのHR



ガラッ


いつも後ろから入ってくる森永さんが
前から入って来て

先生の隣に立った


「今日は、本当にお騒がせして
すみませんでした」


ペコリと頭を下げて自分の席に戻った


「寝癖ついてるぞ」

先生の声に慌てて、頭を撫でる森永さん

「うっそーー」


からかわれたとわかると

プイッと窓の方を向いた


髪やマスクに隠れてても


表情って、わかるんだ

どうして、今まで見ようとしなかったのかな

森永さんが可愛くて仕方ない

今度、ごうくんと3人で、お弁当を食べたいな