恋愛教師 「あんたなんて…好きじゃない!!」

「夏風がここちいね。」

りく君がそう笑顔で言う。

な、何?この可愛い生き物!!

りく君はほんとに無邪気で、カッコイイ。優しくて皆から人気がある。

「あの!!私…りく君のことが」

あ~お願い!!最後の二文字出てきて!!

「ゴメン。俺好きな人いるから。」

私が最後の二文字を言う前にりく君がそう言う。

はい?今なんと…おしゃいました?私のことが好きってことありえる?

「だ…れ?」こぼれ落ちそうな涙を私は必死に隠してそう聞いた。

そりゃ、知りたくないけど…知らなきゃこの恋がたちきれない。

「三条菜々花。」

照れながらそう言ったりく君の顔には嘘はなかった。

三条菜々花(さんじょう ななか)って…学年一番美人の…

胸にポッカリと穴が開いた。

「誰にも言うなよ!!」

そう言った。

好きなはずのりく君の笑顔が毒に思えてきた。

私は思いっきり走って逃げた。

ガン!掴んだ家の門がそんな音をたてた。

「はは…逃げ出すのは失礼かな?」

そう言った私の顔に涙が、頬を濡らしていく。

「ふ、う…」

泣くな!そう言ったけど…無理っぽい。

「う、うあー!!」

夕暮れの住宅地に私の泣き声だけが、大きく響いた。