「ちょっとごめん、通して!」
「きゃっ、く、九条さんっ?」
「どうなさったのかしら…」
お嬢様の集団を掻き分けて辿り着いた門の前。
そこにいたのは遠目でも見た男二人、そしてもう一人。
「あっ、栞里〜!!」
「な、なんでここにっ…!」
男に挟まれて立っていたのは、朝早くから朝練で学校に行ったはずの朱理だった。
「いやぁ、ここ最近色々あって中々家に帰れてなかったでしょ?」
そう言えばそうだった気が…
「んでね?その〜…うちね、姫になることなったんだよね」
「…うん、で?」
「えっと、だから姫になって……うん、それだけ?」
何故疑問形…てか、
「姫って、朱理だって一応そういう類のものじゃん。今更なにを改まって…」
「あー違う違う!そういうんじゃなくてっ!…うぅ〜っ、響くんパス!」
「えっ、俺?」
「お前説明下手くそすぎんだよ!」
「だってぇ!」
「まぁまぁ、取り敢えずここは目立つから移動しよっか」
ーーーーで、
「改めて、うちのお姉ちゃんの栞里」
「どうも」
「栞里、こっちの二人は助手席に座ってるのが響くん。うちの隣に座ってるのが海斗、あと運転手の石田くん」
「初めまして、響です」
垂れ目の茶髪が響。
「海斗だ」
ややつり目気味の方が海斗。
そして頭に刺青をしているのが石田くん
(覚える必要ある…?)

