「ふッ…っ」
「あれ、泣いてるの?」
突然聞こえたハスキーな声。
誰っ…?!
「そんな怖がんなくても、なんもしないから安心してよ」
「…っ、」
「って言っても、それはあんたが今から俺の言う条件を受けてくれたらの話だけどね?」
条件…?
男はにっこりと笑う。
偽物の笑顔だ。
「あんた、九条んとこのお嬢様だろ?」
「…っ!?」
「これ、あんたのでしょ?」
男が上着のポケットから出したのは、あたしの生徒手帳だった。
「んんっ…!」
「慌てない慌てない、別に悪いようにはしないよ。はい、返すよ」
ポスっ…
目の前に投げられた生徒手帳。
「それでね、あんたに頼みたいことなんだけど …白龍のお姫様をここまで連れて来て欲しいんだよね」
朱理を…?
「俺はね、朱雀っていう族の副総長やってるんだよ。訳あって白龍のお姫様が必要なんだよ」
朱雀…って、さっき浩太が言ってたやつのことかな…
コツ コツ コツっ…
すると男は立ち上がりこちらに近付いて来た。
「じっとしてて」
「んっ…プハっ、……ッねぇ、朱雀ってなに?どうして朱理が必要なの?」
口を覆っていた布が解けて、中にあった布も取り払われようやく話せるようになったあたしはすぐにそう聞いた。
「それはまだ言えないかな」
口に人差し指を近付けシーっとジェスチャーする男。

