自由を求めて



「皆様、ごきげんよう」

「「「ごきげんよう、南方先生」」」



このクラスの担任、南方彩子が前に立ち挨拶をすると全員立ち上がり同じように挨拶を返す。


これぞお嬢様。




「それでは教科書のーーー…」



南方先生の授業は英語、中国語、フランス語、イタリア語の勉強。


お嬢様は世界に飛び回る人が多いから言葉はたくさん覚えた方がいいらしい。



あたしも家に帰れば専属の家庭教師が日毎に代わる代わる居て、夕食までの空いた時間を使って、週に3日は外国語の勉強をする。


もともとそんなに悪くない頭、学校に続き家でもそれだけやっていれば自然と言葉は覚えてしまう。



「…ふわぁ、っ…はぁぁ〜」


あたしの席は窓側、だから天気のいい日は空を見てるとすぐに眠くなる。


けど先生に当てられるのが嫌だから頑張って目を開く。




あっ、あれって朱理の学校の制服だ…


ふと校門の辺りを見ていると門の前を全力で走る男がいた。



なんだろ、なにかから逃げてるような…


その時ーー…



「えっ…!」

「九条さんどうしました?」

「あ、いや…ちょ、ちょっとお腹が痛いので保健室に行ってもいいですか?」

「まぁ大変!すぐに保健医の松田先生に見てもらってくださいっ」

「はい」


お腹を抑え席を離れると早歩きで教室を出た。



あれは見間違い…?


でも確かに朱理の学校の制服…、でもなんで…




「確かめるしかないっ…」



そのまま保健室にとは真逆へ向かった。