走る

もう3年目の制服も洗ったばかりだというのに汗だくだ。

こんな汗だくで教室に入ったら臭うだろう
なぁ…と考えるとどうでもよくなって笑ってしまう。

次の瞬間、顔をふと上げると

同じクラスの一馬和子が歩道橋から飛び降りようとしていた。

気付いた時には猛ダッシュしていた。

カンカンカンッと階段を飛ばし飛ばしに登っていく

後ろから思い切り抱きしめ、まさに飛び降りようとしていた瞬間に捕まえる

「ちょっ、冴木くん!?やだっやめて!!
邪魔しないで!!!!離せーーーー!!!」

一馬和子はジタバタして抵抗する。


後からやってしまったとその時は思った。


でも、俺、冴木当麻は後悔してない

ホームルームまであと4分、学校まであと8分のこの汗だくの朝に見つけた彼女を

俺は一生忘れないだろう