私達の力

彼女には恋人がいました。
恋人は彼女の失った姿を見て涙を流しました。
彼女は聴覚がなかったので聞こえませんでした。
恋人はできる限りの事をしました。
彼女が辛い思いをしないよう彼女が苦しくないよう
彼女は感覚がないので触れられても何をしているのか分かりませんでした。
恋人はできるだけ彼女の前では笑っていました。
つらい自分を見せないために
彼女は視力がないので恋人の顔を見ることができませんでした。
彼女は気づきました。
自分は失ってしまった。
私が今欲しい力を全て失ってしまった。
それに気づきました。
彼女は絶望した。
私は何をしてしまったのだろう。
私はどれだけの人を傷つけてしまったのだろう。
私は･･･
どれだけ恋人を泣かしてしまったのだろう。
彼女は嗅覚で恋人のいる場所に近づいた。
恋人は彼女を抱きしめた。
でも彼女は抱きしめられている感覚はない。
彼女は自分の願いを声にだした。
聴覚がなく自分を言っている言葉があっているか分からない
でも伝えたかった恋人に泣かしてしまっただろう恋人に･･･
恋人には彼女の声がこう聞こえていた。