「定員さ~ん、ちょっと相談に乗ってくれませんかー?」

「あ、はーい。ただいま~。
 ……はい、なんでしょう?」

「お客さんが来るんですけど、どんな料理を出したらいいでしょうか。少し相談に乗ってくれますか?」

「私などでよければ喜んで。お客様とは親しい間柄で?」

「というか、親戚だよね?」

「ええ、だから手軽にカレーですませようかとも」

「でしたら鍋などどうでしょうか。最近の夜は冷えますし、ちょっとだけ豪勢に」

「ふむ。鍋か。いいんじゃないかな、ねえ?」

「よし。定番だとは思うけど、それにしよう。闇鍋だっ」

「待て、どうしてそうなるっ」

「闇カレーって言うのも面白そうだとは思ったけどさ、カレーじゃ正体わかっちまうもんな」

「んなくだらないこと考えてたのかい、お前わ」

「くだらないとか言うな。俺は真剣だ」

「真剣に、頭の中身を替えることを推奨するよ」

「うむわかった。じゃあ闇鍋はやめて明鍋にしよう」

「その心は?」

「明るい下でやる闇鍋」

「何も変わってねーだろうが!!」

その日もまた繁盛だった。