あ い の う た <実話>

『やばい…電話かかってきちゃった』



麻美の携帯に親からの着信があった。



出るまで鳴りやまないのが鉄則。




楽しい方に気を取られてすっかり時間のことを忘れてた。




『……交渉してくる』



麻美はそう言って席を離れた。




麻美が戻ってきたのは15分くらい経ってからだった。




激戦の行方は麻美の顔を見れば聞かなくてもわかるようだった。





『やっぱだめ?』




『あの糞親っ……』




『麻美が心配なんだよ…帰ろ?』



名残惜しい気持ちもあったけど、
あたしたちは仕方なく帰る支度を始めた。