あ い の う た <実話>

『おっはー★』
次の日、目を輝かせながら尚は近づいてきた。


なにも言わない。
目で訴えてくる。




その様子を見てると、つい、いぢわるしたくなってあたしは、



『あ、忘れた』
と言ってみた。




『うそ〜ん!!約束したじゃんかぁー!』
しゃがみ込む尚。



『うそだよ笑 はい★』
あたしは鞄からCDを取り出した。


『これが1番最近ので-これはその1つ前の。で、これ1番古いやつ。』
あたしは1枚1枚指差しながら説明していく。



『えー覚えられないし笑 ゆなが1番好きなのはどれ?』



…迷う。




『やっぱ…1番新しいのかなあ?』



なんとなく、嘘をついた。



本当に1番すきなのは1stアルバムだけど。



なんで嘘をついたのかは
自分でもよくわからない。



あたしはいつのまにか自分をさらけ出すことが怖くなってたのかもしれない。




あんまり知らない奴に
本音をさらけ出して
否定されるのはこわい…





…尚はこれを聴いて何を思うんだろう?



『好き』
って言ってくれるんだろうか?