あ い の う た <実話>

ライブハウスの中に入るとそこはまるで異空間。



たくさんのバンドのポスターやステッカー。サインや落書きが目に飛び込んでくる。




そして、ライブが行われる場所へ続く、重い扉を開ける。




薄暗く、煙草のけむりと湿気に包まれた空間。


そして熱気。




今まで感じたことのない熱気にあたしは戸惑いと期待を覚えた。




スタートの時間に近付くにつれ、だんだんとお客さんの数も増えてくる。


そういえばさっき、高野さんが『今日のライブはソールドなんだ』って言ってたっけ。




周りを見渡す…。


【パンクバンドのライブ】だと聞いていたから、お客さんはみんなモヒカンや鋲のついた革ジャンを着ている人をばかりかと思っていたけれど、



どうやら違うみたい。


そおゆう人もいないわけではないけれど、ごく小数で、あとはTシャツにパンツ、首にタオルを巻いた格好の人がほとんどだった。




あたしたちの同じくらいの歳に見える女の子の姿もあった。





思っていたよりも、怖いところじゃないみたいで安心した。