電車は満員御礼。


こんなのに毎朝乗らなきゃならないなんて最悪だな…………。



自然と溜め息が漏れる。

『ふぁはははい』

ついでに欠伸も出た。




こんなぎゅうぎゅう詰めの電車に乗るのは初めてだった。


とりあえず……



さっきから俺のケツをさわさわしてるコイツ。




どうにかせねば……。


顔見たいけど、振り返れにゃいし。
う〜〜〜〜ん。



あ、ひらめいた!



俺のケツをさわさわしとる手を掴み、一ひねり。




『………ギャッ』



ざまあみろ!ばあか!



声に反応して、俺の周囲に動きがあったので、すかさず態勢を変え、振り返る。



この俺様に痴漢する変態野郎の顔を見てやりたいもんな。




『ヒデーよ、尚……。』



『………健太!?』




そこには、手首を抑え、顔を歪ませる健太の姿があった。