あ い の う た <実話>

ステージに登場した自遊人はいつもと変わらない自遊人だった。



ただステージがいつもよりちょっと広いだけ。
ステージが外にあるだけ。


それ以外な何も変わらない。


いつものTシャツ。
いつもの楽器。
いつもの眼鏡。



涼介さんは構えると、二、三回《ギャーン》とギターを鳴らした。



『お前らの不安とか悩みとか……俺のギターでぶっ壊してやるからよーく聴いとけよ〜〜?』


観客が涼介さんの言葉を飲み込み、
歓声で応える。




『うぉおおぁおお!!!!!』




あたしはその瞬間から
涙が止められなかった。





一曲目は今日も
【カーテン】




あたしが初めて聴いた





自遊人の曲。