あ い の う た <実話>

『昨日…俺…本当は奥田さんに呼び出されたの。』





心の中で何かが弾けたような衝撃が走ったけれど、


あたしは黙って、
次の尚の言葉を待った。





『告白されて…振った。…泣いてる原因…それかも。』





涙が出そうなのを必死で堪えた。





『そのこと…なんで黙ってたの?嘘までついて隠すようなこと?』



『本当ごめん。不安にさせたくなかった。けど…今日来てみたらこんな感じだし…。バレるの時間の問題だと思って話した。』





いっぱい責めたかったけど、


言葉が出なかった。




尚は優しいから、


奥田さんが泣いてるのが自分のせいだって、


傷ついてる。





そんなせつない顔をした尚を、
困らせるようなこと、




あたしには言えなかった。