あ い の う た <実話>

『…どうしてって…?』




『いや、付き合ってもらえると思ってなかったってゆーか…』





『俺、男として見てもらえてないだろーな、ってずっと思ってたからさ、笑』



そっか…。
あたしの尚への気持ちは全然伝わってなかったんだ…。




素直に…
ならなくちゃ…





『あたし…意外と尚のこと…好きだよ…?』




『具体的に言うと…?』




『う〜ん………。』




優しいとこ。

リアクションがでかいとこ。

『きもい』って言われて喜んじゃうとこ。

なんでも顔に出ちゃう正直なとこ。

いつも一生懸命なとこ。

髪をいじるしぐさ。

だらしないとこ。


…尚の声。



…やさしい手。




挙げ始めるとキリがなかった。



尚は恥ずかしそうに少し俯いたまま聞いていた。




そして、
『…なんか褒められてるか、けなされてるか…微妙。』
と、笑った。





『褒めてるの!』





『俺、今スゲー幸せかも。』
尚はそう呟き、
あたしの身体を引き寄せた。