あ い の う た <実話>

尚の部屋は意外性のかけらもなく、あまり綺麗とは言えない部屋だった。



決して汚いわけではないけど、
あまり片付いてない感じ。



尚はいつも制服のシャツが中途半端に飛び出してるし、ズボンの裾はビリビリになってる。




『なんか…尚の部屋って感じ、笑』




『あ…褒めてる!?』




…褒めてはないんだけど、笑





『あれ…あそこ?なんか貼ってた?』



ポスターを剥がしたような跡があった。




『んあ…?う〜ん、そんな感じ。』
尚が明らかに動揺した。





『女の子のポスター昨日慌てて剥がしたんだ?笑』
あたしが言うと、




『それは無いっ!』
と強く否定された。



『じゃ〜何貼ってたか教えてよ?』




『えぇ………。』
尚は本気で嫌そうな顔をした。





『…クローゼットん中。』
尚はクローゼットを指差した。



あたしはクローゼットの中を開け、
丸まったポスターらしきものを見つけた。



くるくるっと丸まった紙をのばすと、それは自遊人のポスターだった。




『あ…………。』





『デートの邪魔されたくなかったの!…まじダサいわ〜俺。』




あたしは尚に申し訳ない気持ちになって、
黙ってそのポスターを元に戻した。





『ゆなちん………俺、前から聞きたかったことがあるんだよね…』





『…なに?』






『ゆなちんはさ…どうして俺と付き合ってくれたの…?』