あ い の う た <実話>

金曜日の放課後。


といっても午後の授業をサボったから、
実際には放課後じゃない。


あたしと尚は、
下北沢へと向かっていた。



自遊人のライブを見るために。



尚は落ち着きなく、
あちこち寄り道した。



あたしはそんな尚に振り回されるのがなんだか楽しかった。




『やべっ下北おもしーもん有りすぎるっ』


『いや、今下北で1番面白いの尚だよ、笑』




『いやあ〜ゆなちんとデートとかテンション上がんじゃん!』



『いやいや、デートじゃないし!』




『えぇ〜〜〜デートじゃないのぉ!?』




他愛もない会話が尽きなくて、
尚と過ごすトキは、
いつもあっという間だ。





『着いた。ここ!』



初めて自遊人を見た時と同じライブハウス。





『すっげぇ〜!意外とちっちゃいんだな』



尚が目を輝かせているのを見て、



一緒にライブにきてよかった、
って思った。