あ い の う た <実話>

『ね-さっきちゃんと聞いてたあ?』


ようやく交代の時間が来て廊下に出ると
後ろから尚の声がした。



振り返ると…


『…なにその恰好?笑』


前髪はおろしてナナメに。
片目が隠れている。


黄色のしましまちゃんちゃんこに、下駄。


手には目玉の人形…



『何ってー!!俺鬼太郎役じゃんよ〜』



『お化け屋敷にふつー鬼太郎いないから笑』




『ここにいるからぁー♪』



…ちょっと似合ってるし



『で…このあとなんだけど』




『…一緒に見てまわらない?』




『尚…』




少し照れ臭そうな尚…





『ごめん!鬼太郎とは無理!』



『えぇ〜!?ゆなちんヒドイ〜〜呪ってやる〜』



『鬼太郎は呪ったりしないから!!』





憂鬱だった誕生日は


尚のおかげで




特別な日に変わろうとしていた。