その日の放課後。
柊哉は美咲ちゃんに教室に残っててくれとLINEを送った。
めぐみに遅くなるから帰っててもいいよと言ったけど待ってるからと言って全く言う事を聞いてくれず私が折れて待っててもらうことにした。


「大丈夫か?」

ふと、柊哉に声をかけられた
柊哉の顔は不安そうできっと、また私が過呼吸になったり、倒れたりするんじゃないかって思っているんだろうか。

「大丈夫だよ。」

一言笑顔でそう言えば不安そうな顔からゆっくり優しい顔になる。
柊哉が微笑めば嬉しくなって笑顔になる。
こんな気持ち、いつぶりだろうか。

「辛くなったら言えよ」

「うん」

柊哉は教室のドアに手をかけ開ける。

「なに、話って」

美咲ちゃんは私を睨みつけながら言う。

「話がある」

「私との別れ話?」

美咲ちゃんは苦笑いをこぼす。
その姿は全て分かったような姿。

「何よ、その2人の顔は」

美咲ちゃんがまさかそんなあっさり別れるなんて言うと思ってなかった私達はポカーンとしてた。

「なんで、そんなあっけなく…」

私がそう言うと美咲ちゃんに笑われた。

「あんた、私に諦めてほしいの、ほしくないのどっちなの」

相当ツボにはいったのか大爆笑。

「えっと、その…」

どう答えていいのか分からず口篭る私。

「ごめんごめん、からかいすぎたわ。
私だって、別れるのは嫌よ。けど、屋上の会話聞いちゃったの」

てへっと下を出して見せる美咲ちゃん。

「私あんたのこと勘違いしてたわ。
柊哉を取るなんてどんだけ嫌なヤツなのかと思ったの
だから、こいつなんて大嫌いって思ったの。
まぁ、偏見をもったって言えばいいのかしら。」

淡々と喋っていく美咲ちゃんはなんかスッキリしていて
笑いながら話している
それを私と柊哉は黙って聞く。

「けど、屋上の話聞いてあっ、バカだこいつって」

「ば、バカ!?」

バカって言葉に反応してつい、口を上げてしまう。

「だって、普通に考えて自分より他人を思うんだもん。
そりゃあ、バカだと思うわ。」

「俺も栞音はバカだと思う。」

2人してバカバカ言うのにイライラしてきた。
体が小刻みに震える。

「まぁ、そんな怒んないでよ。
そんな女しか私も柊哉も見てこなかったから。
だから、あんたもどうせそうだって勝手に思った。
けど、違った。
あんたなら絶対に柊哉任せられると思った。
だから、別れてもいいって言ってるの。」

美咲ちゃんは笑ってみせる。

「美咲、ありがとな」

「別にいいわよ。
幼馴染みとしての役目を果たしてただけだもの」

「美咲ちゃん!
ありがとう…」

一言お礼を言うとふふっと笑ってどういたしましてと言ってくれた。

「まぁ、柊哉あげるんだから私の願いは叶えてもらうけどねっ」

語尾に星がつきそうな勢いで笑っている美咲ちゃん。