「はい、逆です。
柊哉の事は、好きです。
だけど、柊哉には彼女さんがいるので私が辛いんです。」


金城さんはなにも言わず聞いている。


「私、弱いので。
こうするしか、なかったんです。」


「昨日は、何かあったのですか?
いえ、言いたくないのならいいのですが」


「…彼女さんに言われてしまって
どうして柊哉との婚約をOKしてしまったの?って」



私は少しだけ笑いながら金城さんに話す。


「私、過去にいろいろあったので
責められたり、されるのが苦手なんです。
ただの、弱虫ですよね。」


「いえ、そんなことは…」


金城さんの声のトーンがどんどん低くなっていくのが分かる。

「それで、昨日その場に居たくなくて逃げちゃって
柊哉が追いかけてきてくれて
それで、好きだって気持ちに気づいたんです。
私、惚れっぽいのかなぁ……」

自分で言っておいて笑えてくる。

「助けてくれる柊哉に、惹かれていたんだと思います。」

「……そうですか」

「あ、もう学校ですね。
金城さん、ありがとうございました。」

車のドアを閉める前に私が柊哉のこと好きだって内緒ですよ?そう言った。

金城さんはもちろんです。と笑いながら答えてくれた。