「柊哉、やっぱりやめよう。」

ふと、栞音が呟いた。

「何を?」

俺は何をやめるのか聞くために栞音に向き直る。




「結婚の話、断ろう?」


綺麗な満月の星が綺麗な夜なのに
俺には、それが虚しく感じた。


「最初からダメだったんだよ。」

今にでも泣きそうな栞音。

「栞音?」

俺は優しく栞音の名前を呼ぶ。

「私は、彼女がいる人とうまくやっていく自信は、ないから。」

今にでもその目から流れてきそうな涙。
栞音は強がりだからきっとそれを我慢してるんだろうな。
俺を心配させないために。

「今日は、家に帰してください。」


絶対辛いからだろう。
それに、ただ単に俺といたくないだけかもしれない。



「…分かった」

俺は金城に連絡をして栞音を家に送り届けた。