「けど、栞音のあの時の表情を見て騙されたフリをしようって」

「騙されたフリ…?」






柊希は分かっていたんだ。
初めて会った時から私が『栞音』だって。





「栞音、すごく苦しそうに笑ってたから。
こんな表情をさせているのは俺だって。
…だから、栞音が同姓同名って事にして
真実から俺が逃げた。」

「柊希は分かってたんだね。」

「当たり、前だろ。
付き合ってたんだから…
どんなに、メイクしたって、髪型変えたって分からないわけ、ないだろ」



柊希は私の手を掴んだままその場にしゃがみ込む。




「…そっか。」