こだまする三毛猫の声




***

ライブが終わり、俺たちのバンドはそのまま解散となった。




「あ、ごめんなさい」




とん、と肩がぶつかったのを謝られて、その声に反射的に振り返った。




「ミケ…」

「え?…あ、こだまのシュウさん」




思わず口をついてしまって、少し困惑しているミケが俺を見上げる。



「…俺のこと知ってる?」

「もちろん。そちらこそ、私なんて覚えてるんですか?」




そう言ってミケは笑った。

覚えてるよ。だって俺は君の声が……なんて言えないけど。


あぁ、今ミケと話してる。

ミケの声が、直接耳に入ってくる。



(声…)



「喉、大丈夫?痛めてる?」

「えっと、少し…。そんなに声、変でした?」



不安そうに聞き返すミケに、慌てて手振りをつけて否定する。



「いや、全然。いつもと変わらなかったよ」

「そっか、よかった」



ミケはまた笑う。



(かわいい…)



間近に見る笑顔に胸が高鳴った。