「大丈夫、大抵の場合暇だから。むしろ会えてうれし……」
「…え?」
言葉が聞き取れなくて、聞き返した。
「いや!なんでもない、気にしないで!」
「はい…」
ものすごい勢いでスパッとそう言われてしまえば、さらに聞くのも気が引けて頷くしかなかった。
***
(やっぱりシュウさん歌うまいなぁ)
ライブハウスのに比べたら性能が良くないカラオケのマイクでも、そう思える。
狭い部屋に響くその声を堪能したくて目を閉じた。
「ミケ、まだ歌ってなくない?」
そうしていると、ミヤが私の声をが近くに聞こえて目を開けた。
(シュウさんの後に歌うのは自分の下手さがわかるから嫌だな…)
「後で歌うよ」
渡された電子機器を机に置いてミヤにそう返す。
「じゃあ飲み物取りにいこう」
ミヤの提案に頷いて2人で部屋を出た。


