どんな時も。アタシ。

レンとの生活は辛かった。アタシは相変わらずイメクラで働いていたが、稼いだお金はローンの返済と生活費でギリギリの額だった。

一緒に暮らしててもレンと一緒に寝る事は無かった。
レンはただ、住む家が欲しかった。いわゆる“ヒモ”ってヤツ。

そんな生活が長く続くはずもなく、アタシは別れを切り出した。
レンは怒った。

数日もめた。

「初めて会った日に、性病をうつされた。騙された。営業妨害だ」
と言って裁判という言葉を出してきた。
「好きにすれば」
アタシは言う。
そんな事が出来る理由がないとは分かっていたが、付き合っている間に“何をするかわからない男”という事は知っていた。

レンはアタシの家の合い鍵を持っていた。
別れてからしばらくたったある日、家に帰ると、レンが来た形跡がある。

ローン返済のためのお金が盗まれていた。