恋の味

歩き始めると、太陽がうざったいほど照ってきた。(あぁ、イメージを崩す前に言っとくけど、俺は心の中じゃ結構喋るしなんか文末揃ってないやつだからよろしく。それだけ色々考えてるんだよ?こっちは!)


俺は、サッカーで雨の中やることも珍しくないから、この暑さぐらいなら平気だ。


さっきから暑い暑い言ってる光輝も同じこと。


春風はもう少しだと、にこに声をかけてくれる。


光輝も場の雰囲気を盛り上げようと必死だ。


二人のパワーは、俺にとってはありがたかった。


「…にこ?」


春風と光輝は見ていたけど、やっぱりにこが気になった。


さっきから様子がどうもおかしい。


顔はさっきより赤くなる一方。


俺の後ろを歩くぐらいスピードが落ちた。


あと、本当にもう少しのところ。


あと数十メートル…数百メートルも進めば学校が見えてくるだろう道の真ん中。


ここもまさしく農道だ。


そんなことを考えていると、驚くべきことが起きて、柄になく悲鳴を上げそうになった。


「⁉︎」


にこが、体育着の裾を握ってきた。


どうか僕の理性よ、通常運転のばいはたらいてくれ。


俺の理性は賢かった。


それに加え、俺の中の『にこサイレン(和恋の危険を察知した時、俺の中でなるサイレンだ)』がいつにも増して騒がしく鳴り響く。


それほど、俺の頭は正常だが。


鼓動が早くなる。


悪い予感しかしなくなっていた。


「…りっくん。」


そう、にこが口にするのと崩れ落ちるのは、ほぼ同時だった。